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2012年05月18日

ゲーム製作における守秘義務(秘密保持契約)

守秘義務の有り様と現状、どうすべきか、そもそもなぜ存在するのかを書いてみる。

俺は専門家じゃないから確実性のある話とは言えない(抜けが多い)が、ある程度の法や判例を確認しての文を書いてる。
最後に、自分がやった依頼の守秘義務についても書いた。

まず、基本的な認識として。

公務関係でよくある、個人情報保護に関係する守秘義務に違反したら刑事罰が与えられるのはご存知だろうか。
また、私企業が設定した守秘義務に関しては、民間でしか争いようのない件でしか無いのはご存知だろうか。

つまり、守秘義務というものは、公務関係で課せられるような刑事罰に至るものくらいでしかなく、私企業で課せられるのは個人情報保護などを除けば単なる契約でしか無い。
しかも、契約も法律上適当とされる契約であればともかく、違法と判断される契約というのは適用されない。

また、秘密保持契約というのも法人間での契約で行われるものであり、その法人の従業員に課せられない。

例外の法律もある。
市場競争の正常な活性化を目指したのが、不正競争防止法の存在意義。
秘密管理性の存在する情報を漏洩すると、不正競争防止法による営業秘密の保護において訴訟され敗訴する可能性がある。
「それを誰が知っている」というのをいつでもリストアップできる状態でないと、秘密管理性がある状態とはいえない。

特許法は、技術の発展を目指して、特許を認める代わりに技術の秘密を公開させるための法。
この話では逆に関わりのある話なので省略。

特許法の逆の話として、ノウハウ。
ノウハウは特許や意匠のような登録制度によって保護される対象ではないため、秘密が漏洩した場合、その侵害行為を差し止めるためにはいくつかの要件が必要となる。
つまり、特許法などに基づいて違法に取得し漏洩させた場合でもない限り、秘密漏洩自体を罪に問うことはできないし、係争する場合でも利はない。





守る方守らせる方両方に言えることとして、秘密を守らせるのにも手続きが必要、というのが大切な認識だと思っていい。

ぶっちゃけ、秘密を漏らしたくないなら殻に閉じこもっておくくらいしか確実な手はない。
USBフラッシュメモリに保管して自分が持ち歩く、など(これは実例)。
秘密を守れー! と言って守ってくれるのは人間どころかプログラムだって大変だ。
何しろプログラムだって人間が作るもの、それを破る人間は作った人間の隙を突く。
ネットだけではない、持っているパソコンだってそうだ。パスワードで弾かなければ、パソコンのある建物へ忍び込んだ人間が閲覧した場合、防衛手段がない。

セキュリティでは、バレていい情報をきちんと選別するのが基本、壁が薄いところがあったら全て崩壊するんだから、壁は小さい方が厚くできる、みたいなことを言われた。
どこからどこまでが守るべき情報かを認識できていないのは論外で、その場合はその情報を知りうる人を外に出さない方策を取るしか無いし、普通にそんな事したら監禁罪に問われるから外に出ないように環境を整えると、こちらのほうがコストがかかる。
悪用されたら…漏らされたら…と心配するくらいなら、他人などというどうやっても100%の信頼を求められないものを使用しないほうがいい。気分的にも、コスト的にもいい。
秘密がバレた時以上に、秘密を守るコストが高いのなら、無理に秘密にすることもない、という判断も常に必要だ。
それどころか、漏らされたところで支障のない秘密なら、それを守るコストを考えるべきだ。
無駄なコストを掛けるのはマネージメント能力を疑われることになる。


で、守秘義務を守らせるために。

秘密保持をさせるというのは、義務を課することであり、十分にその義務に対してメリットを与えておけば漏らすことはあまりない。
おいこれやれ、これ秘密だからな、終わったらとっとと帰れ、おい漏らしたな!
これではこどものやり口である。なんらかのインセンティブ(秘密を守ることで得をするが、バラすとその得が失われる、など)を用意するのが有用だろう。
秘密を守ることに対する直接的な報酬を渡すというやり方もありだ。その報酬こそ、守りたいものがあるのだ、というメッセージになる。口だけではなく、システムで理解させるのは有効だ。
バレたら会社が潰れる、お前の就職口もなくなるぞ。とかいう妙な脅しでも効果はあるし、事実を話すだけでもいいこともある(ただし、この場合バレたら会社が潰れるという秘密を漏らしてしまっているので良くはない)。

従業員などの被雇用者にとって秘密をバラすデメリットもあり、それは取引先(雇い主)に、こいつ秘密を漏らすからなあ…ということで印象が悪くなるというか、秘密に関わる仕事を与えたくなくなるという点だ。
逆に言えば、有能であるなら別にバラされてもいい情報だけを与えて仕事をさせればいいだけの話なのだ。

そんなわけに行かないというなら、さすがに秘密が多すぎるのだから、選別をきちんとして、ふとしたことで離れないような人間に仕立て上げるべきだ。
間違っても秘密を守らせるのに短期間契約の月18万とかで雇ってはいけない(なお、俺はもっともらってなかった)。それでは金を少し出せば簡単に漏らしてしまう。
日本人は秘密をかたくなに守るNINJAの末裔ではあるが、NINJA育成は高コストなので、安く雇えないこともきちんと認識するべきだ(そういう意味では、かつて日本のサラリーマンがアメリカからNINJA呼ばわりされていたが、あながち冗談でもなかったんじゃないかとも思ったりする)。

逆に雇われる側として秘密を守るタイプであると相手に認識してもらうのは好評価に繋がるかもしれない。雇用側がツイッターやブログを調べられるのはそういう面もある。
信用がお金にも代えがたい価値があるのは、そういうことだろう。



問題の一つとして、保持して欲しい秘密の範囲がテキトーすぎという話。これはガチ秘密、これはまあいいや、というのがあれば問題が小さくなる。

何しろ秘密というのは、その秘密を持つ人間が秘密にしたいという点、一点のみでフラグが立てられている情報のものであり、漏らす可能性など人間だしいくらでもある。
たとえ秘密をバラしたらこうなるぞ、と脅しても、それを恐れない人間だったらバラしてしまうだろう。
秘密というのは、できるだけ秘密は小さくまとめて守りやすいようにしないと、守り切るのは難しいことは書いた。
何でもかんでも秘密というのは、それではどれからどれまでが秘密なのかわからんので、大人のする規定ではない。
秘密を守りたい側が秘密をブロックすることに努力するのは当たり前で、それを一個人に任せるにはそれなりの覚悟や技術が必要だ。
紙切れに書いた一文が効力を奏するのは、それが理にかなっている時だけだ。

一応、俺もハドソンをやめて秘密にしているものはあるが、これはいいや、これはアカン、というのをいくつか自分で勝手に規定してる。
それは、その作品の根幹になったり、バラしてしまうとがっかりされそうなこととかは、会社の不利益ではなく、ユーザの不利益であると考えてだったり。当然、個人情報保護に関することはできるだけ秘密にしてる。
全部秘密にしてたら人間と会話できねー(秘密が多すぎると、普通人間はそうなる)し、公務関係のエライ人ならともかく一私企業ごときが人間一人にそんなもん課する権利など無い(日本はわりと法人優遇ではあるけども。とは言え他の国はもっと酷いところも当然あるが、ここでは関係ない)。
というか、守らせる方もその辺をきちんと考えておくべきだ。
だいたい、秘密漏洩したら賠償すればいいという根性は問題ある。漏洩することそのものに被害があるなら、可能な限り漏洩しない方策を取るべきだ。


ゲーム業界だと、なんか守ればいいレベル止まりのコメントみたいなのが多い気がする。
NDA(秘密保持契約)の認識だって、これお互い守らんと損するから漏洩するようなことやめてね、との(会社間で考えると当たり前のように発生する)契約だし。
どうにもゲーマーが多いのか、ルール守れば何してもいいというゲーム好きの悪い特徴が出てる気がする。
ルールとか法律というのは、制定する理由があって制定されてるし、それは契約だって同じだ。
しかし、ビデオゲームだと設定してない部分は全て穴なので、そこも含めてルールとなってしまう。
ビデオゲームの攻略はその穴を突くことがままあるので、ビデオゲーム好きの秘密保持感覚が少しズレるのかもしれない。

個人的に、ゲームデザイナが法のあり方わからんというのは致命的だと思うんだが(だってゲームってルールでできてるんだし、ルール設計は法律制定とやってることはあんまり変わらない。刑罰だってディスインセンティブでやらないように誘導してるもんなんだし)。
大まかな「何して遊ぶ」というルールのもとに、その「何して」を実現するのが詳細な仕様になるんだが、契約にしろルールにしろ、その大まかな部分に沿って制定されるものだ。
この辺の話は別個で書いたほうがいい上に、まとまってないので(=俺の能力不足なので)後で書く。



で、逆に「守秘義務を盾にして何したか言わないとかないよねー(意訳)」という声も聞こえてきたんだが、これはもう明らかに守らせる側の問題となる。
どこまでっていうのは契約書に示されてないことが多いからだ。
何しろ、報酬とかどころか、関わったことまで秘密扱いされるのだ、そうそう言えたもんじゃない。
わからんけど、給与を言うこと自体なんかタブーみたいな認識なのは日本の特徴かなあ。別に自分からばらすのはいいと思うんだけど。

先にも書いた通り、俺は俺の判断でこれは言っちゃダメだろうっていうのは、タイトルに関してもここでも書いたことない。
平然と言えるのは、それこそスタッフロールに名前載ったタイトルだけだ。
桃太郎電鉄WORLD(ゲームデザイナー)、ROOMS(テスト)、天外魔境3(テスト)、クロスワードパズル2かなんか(テスト)の4つだけだったと思う(テストはリーダーだけど外と連絡してるのは基本別社員なので、別に明記されてない)。
他には10タイトルくらいテストリーダーやってるし、普通のテストなら20くらいはあるけどわざわざ言ってない。
多分、発売したタイトルに関しては、だいたいはいいとは思うんだけど、1タイトルくらいマズそうなのもあるので書いてない(もう他社じゃなくなったからいいとは思うんだが)。

ていうかこういうのゲームライターが言い出すのはどうなのよ(胡散臭い人も確かに多いけどさ…そういう人はたいていちゃんとスタッフロールに載ってますよ)。
文句言われないから言っていいってのもどうかと思うが。


というわけで、余計な守秘義務は単なる足かせでしかないのであり、できるだけ枷がないほうがいい。

そういう意味で、長い黒髪のマイカノジョに関しては、契約書にこんな感じで明記するようにしてた。


 1・○○側が業務上通知し、公開を禁じた期間中の、アプリケーションの公開日。
 2・○○側が業務上通知し、公開を禁じた期間中の、アプリケーション名。
  1・上記の守秘義務は最長、公開日までとする。
 3・○○側が業務上通知し、公開を禁じた期間中の、アプリケーションに設定されたテキスト。
  1・上記の守秘義務は最長、通知日から10年とする。
 4・○○側が業務上通知し、公開を禁じた期間中の情報。

 5・以上の情報の、使用目的外の使用を禁ずる。
 6・以上の情報を本人以外が公開する場合は、○○の許可を必要とする。
 7・以上の上記の守秘義務は○○が同情報を公開した時点で無効とする。

発売タイミングと正式名称と発表タイミング以外どうでもいいのでこうなった(当然個人情報に関しては別途記載済み)。

ちなみにグラス学園で携わってくれた人に関しても、お金とか期間とか資料とか、だいたいは全てばらしていいです。
ただし、個人情報だけは勘弁して下さい。

ついでに、上の文章には特に著作権なんてないんで、使いたいなら勝手に使って下さい。
これもどっかから持ってきたののアレンジだし。
とは言え、契約なんて内容を自分で理解できてないと書いても意味ないんだけども。

守秘義務に関してはこれで終わり。

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