さぽろぐ

趣味・エンタメ  |札幌市豊平区

ログインヘルプ


アクセスカウンタ
プロフィール
keel
keel
札幌市豊平区の端っこ(現在・東京都新宿区)でアプリ企画とかやってるおっさん
オーナーへメッセージ
インフォメーション


2012年07月01日

どうでもいい企画書とどうでもよくない企画書

テスト時代、こういう企画書どうでもいいから仕様書をよこせ!
ということは多々あったが、企画書と仕様書は役割が違う以上に、企画書自体も役割が違うことに注意しなくてはならないことを思い出した。

というFacebookノートからの転載(向こうがメインになってしまった)。
企画書は読んで字の通り企画について書かれた書類である。
問題は、どんな企画について書かれたものかだ。

ゲームにおける企画書について記述してみよう。
・製作アイデアの企画書
・アイデアの実現方法を紹介するための企画書
・商売を行うための企画書
・制作手法の企画書
・実現のためのゴールとなる(=開発着地点としての)企画書

それぞれ
・これをゲームにするのはどうだろうかプラン
・このアイデアをこう実現しようと思うプラン
・こういう方法で商売にしようプラン
・こういう作り方をしようプラン
・これを作ろうプラン
という感じになる。

・これをゲームにするのはどうだろうかプラン
こういうアイデアや製作の種がある。この種を(こういう形で)生かしてゲームを作ってみないか?
※()内は記述されてないことがある。
具体例・・・デビルマンを題材にしたアクションゲームのプラン、けいおん!を活用したソーシャルゲームの提案、石原裕次郎ゆかりの地を使ったエリアゲーム製作要項、キネクトを使ったRPGなど

・このアイデアをこう実現しようと思うプラン
この題材を、こういう形で作りたい。
具体例・・・デビルマンを題材にしたベルトスクロールアクションを4ステージ制キャラを一人にするぶん必殺技を充実などなど、けいおん!はキャラクター依存の作品であるのでそれぞれが桜高軽音部をプロデュースするタイプのソーシャルゲームに、キネクトの操作を上下左右の選択肢や前後左右の移動に見立てて操作させるRPGとしUIをキネクトに依存させたようなドラクエ3タイプのRPGを…

・こういう方法で商売にしようプラン
どうやってお金が儲かる設計を作るか、必要な制作物のおおまかな内容と具体的な商売ルート。
具体例・・・デビルマンにお金を払う世代というのは40代でありお金は持っているが時間はないので短期間で大きくお金を払うことができる収益形態を企画し手元に持てるスマホで展開クレジットカード決済を使い宣伝はビジネス誌やPCサイト駅ポスターで行いそうなるとコストはこれこれかかる(以下略)、キネクトを使うのでXBOXでの展開以外はないので海外をメインにしオープンワールドのパッケージRPGをゲーマー層だけではなく新規ガジェットのゲームを求める層にもリーチするようにマニア向けよりも一般へ開いた要素を組み込んで俳優と契約し肖像権を使うのでコストは(以下略)

・こういう作り方をしようプラン
どうやって提示されたモノを作るか、その手法とリソースもしくはリソースの製造方法と規格設計。
具体例・・・けいおんはプラットフォームがフューチャーフォンにも対応したスマートフォンなのでXHTML形式に順応するよう画面遷移を設計したものを別途参照してパラメータや使用リソースデータはリストを参照し(略)
※具体的な設計手法はプログラマなど技術者が担当するのが普通なので、設計に必要なリソースプラン

・これを作ろうプラン
どうなれば完成とするのか、その目標となるグラフィカルな状態の画像や説明。
具体例・・・タイトル画面はこの画面オプションはこの形で画面遷移は図のフローのようになっており画像はこういった雰囲気を表現され音はここにはこれここにはこれが再生されこういった分岐が施されているのが完成形である、など


商品開発企画と、商売手法企画で違うし、そこまで行くためにどうするか企画、何を作ろう(としてるの)か企画、どう作ろうか企画でも全然違う。
普通の会社だと、いくつかは開発部ではなく、宣伝広報部だったり、経営だったり、技術だったりする担当の部分もある。
これをひっくるめて全部企画と呼ぶから、ゲームの企画はわかりにくいんだと思う。

テストで必要なのは、「こういう作り方をしようプラン」であり、企画書と言うよりは設計仕様書に近く、企画と言うよりはプログラマの守備範囲に近い分野である。
この辺が曖昧だと、プログラマが書いてないことを(良くも悪くも)勝手に出力してしまい、文書として残ってないことが多く、テストの時に非常に困ることになる(というかなった)。

ところが、企画の人というのは商売をメインに考える経営陣や小売りに企画書を見せるという業務も多く、「こういう方法で商売にしようプラン」「これをゲームにするのはどうだろうかプラン」をよく量産するイメージがある。
別にそれはいいのだが、そういう人が「こういう作り方をしようプラン」を作るのに長けるわけじゃなく、どっちつかずになりがちな印象がある(飽くまで印象論)。

難しいのは、それぞれ見る人が違うのに、同じ「企画書」という名前で呼ばれるため、キメラのように様々な要素が組み上がった企画書が山ほど生産されることになることだ。
どうでもいい企画書とはそういうものを指しているのかもしれない。
なぜなら、誰にとって必要な書類なのかがはっきりしていないからだ。

例えば、ゲーム製作責任者が「新しいゲームの開発」の任務についた場合、その責任者に対して提出する企画書は
・これをゲームにするのはどうだろうかプラン
になるし、その責任者はそのアイデアを形にしようとすると
・このアイデアをこう実現しようと思うプラン
を用意する必要がある。
そしてその企画を企業として実現するために「新しいゲームの開発でこう商売につなげる」で資金をもらうための
・こういう方法で商売にしようプラン
で経営陣の了承を得、実際の開発に入ると技術から「現実的に何をどうするのか」を訊かれた場合に
・こういう作り方をしようプラン
を準備しなくてはならず、最終的な期間があるために
・これを作ろうプラン
を用意して完成品であることを証明する。
という流れができる。

これを全部ぶっこもうとすると中規模ゲームでも20とか50とか、天井知らずの膨大なページ数になる(省略しまくったカンタンゲーAngry teachrで10ページもある)し、かといってページを減らすと何もわからなくなる。
何もわからなくなるのは理由があり、決定裁量権を持つ人が多ければ多いほど共通認識が取りづらくなる。
商売を考える人と実際の設計を組む人は、大きい企業なら役割分担するのが普通なのでそのへんは仕方ない部分もあるがこの話にはあまり関係ない。

参考一人だが、プログラマとしてはゴールである、
・これを作ろうプラン
があればいいよということだが、これは飽くまで「このゲームは面白いんじゃないか」という点で、
・これをゲームにするのはどうだろうかプラン
・このアイデアをこう実現しようと思うプラン
を省略した形であり、その辺りを省略しても理解できるだけのゲーム知識を持たなければできないことである。
そのため、ゲームを良くわからない人にとっては
・これを作ろうプラン
のみに集約した企画書はどうでもいい企画書になる恐れもある。

逆に実際に作るとなったら
・こういう作り方をしようプラン
・これを作ろうプラン
以外は基本的に役に立たなくなるし、テスターの立場から言えばそれの前者以外はどうでもいい企画書になる、と言うのが俺の実体験の話になる。

そして商売につなげるならお金の話が具体的である
・こういう方法で商売にしようプラン
以外はあまり意味がなく、市場を担当してる人がいてもせいぜい
・このアイデアをこう実現しようと思うプラン
くらいしか参考にならなくなる。

投資家や経営陣などは商売オンリーしか見ないし、市場は営業やマーケ、プロデューサーはコスト計算が可能な状態を見るし、ディレクターはどんなものを作ろうか具体的な案を設計、プログラマやリソース製作者やテスターは制作物の具体像や設計像を担当する。
見る相手に対して適切な企画書を用意しないとならない、という話だと、書いてて自分でわかってきた。

もっとわかってきたら別に書くことにする。

あなたにおススメの記事

同じカテゴリー(ゲーム/いろいろ)の記事画像
killykillyJOKER HARDとかいうクロスビーツREVの戦犯
同じカテゴリー(ゲーム/いろいろ)の記事
 ゼルダの伝説ブレスオブザ・ワイルドクリアした (2017-06-08 01:13)
 デジゲー博行ってきた (2016-11-14 00:00)
 ゲームデザインの魔導書02ゲーティア読んでみた (2016-08-17 02:00)
 killykillyJOKER HARDとかいうクロスビーツREVの戦犯 (2016-01-23 13:07)
 デジゲー博2015行ってきた (2015-11-16 02:15)
 コミケ戦勝品 押して参ると謎の未完成音ゲーサウンドトラック (2015-08-30 00:04)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
どうでもいい企画書とどうでもよくない企画書
    コメント(0)