『飛ぶ教室』

keel

2009年06月11日 02:24

基本的に、これ○○でしょ。というのはある。
そのくらい、作品の質が似ているというか参考以上に参考したような感じの作品というのは、間違いなくある。
でも、リメイク失敗中よりずっと意味があると思ったんだ。
3位『飛ぶ教室』。
実は、この企画が異常なほど遅くなった理由は、この作品の1巻が手に入らなかったからだ。
まあ、手に入ったあとでも、仏ゾーンさまが困らせてくれたが(と思ったが、最近手に入れたユンボルがバカすぎてもったいなくなってしまったと後悔気味)。

それは関係ない。

飛ぶ教室は、俺がガキの頃、ジャンプを連載で読んでた時にショッキングだった作品であり、今読み返しても(漂流教室を知ったあとでも)、まあ面白いんでないかくらいに思えた作品だ。
要はそういう流れのもの、小学生のサバイバルを描いた作品である。

このマンガの特徴は、大人が(漂流教室以上に)残っていないこと、狂気的な描写は、少なくともメインキャラにおいては起こらなかったこと。
そのため、ジャンプ読者にも何とか読める…しかし、ちょっと厳しい作品である。

友情、努力の描かれた作品でも、勝利のない作品は無常にも打ち切られるのが週刊少年ジャンプの掟。
どうあがいても勝利のない作品テーマでは、どうしても抵抗はできなかったのは仕方なかったのではないだろうか。


内容の方の話をしたい。

意外にもこの作品の主人公は、(小学生なんだが)すでにヒロインとらぶらぶ…いやさ自他共に認める相思相愛として描かれ、ジャンプ作品としては珍しい印象を受けた。しかし、それが他者との軋轢を生むこともあり、この作品なりにシビアさを表現していたのは好感が持てる。
打って変わり主人公のライバル、というよりは主人公が引き立て役になったと言える、真の主人公枠にいる天才少年は、ませていたのか担任の女教師を慕っており、それが悲しいドラマを生んでいた。
女教師は事件前からカッコつけようとしてそれを維持し、最期までその態度を捨てなかった(ロングラブレターの元ネタはこの先生なんじゃないかと思った)。

キャラ的には、すでにここで成功していたし、他の脇キャラもそこそこいい味出してて良かったんじゃないかと思う。

極めつけは病弱キャラで(この枠も漂流教室にいたが)、彼女が足手まといを自認して抜け出した時、水を見つけた時の神に感謝を告げたシーンは感慨深い。
なにしろ、抜け出したことで他の漂流者たちが探し回るという大きな迷惑をかけていた。そのときにちょうど水がないという状況で、だ。
結果的に上手くいったわけだが、もし水が見つかってなければ袋叩きにあっても文句は言えない上、それ以前に自分も死にそうな時に水を見つけたのだから、その時の安堵のしようは簡単に表現できないと思われる。
それを、それまで神を信じてなかった(と思う)キャラに、神への感謝を言わせるということで、発見の喜びを描写したんじゃないかな~と思った次第。


日常の描写がイマイチな部分で首をひねるシーンもあるが、基本的には話は一応きちんと終わり、かつ、内容もしっかりしていると思う。
ジャンプ打ち切りの中でも指折りのオススメ度を誇るのではないかと、俺は思っている。

まあ、漂流教室でいいなら、漂流教室を読むべきなんだろうと言うのはわかるけど。

3位はこれで終わり。
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