『バオー来訪者』

keel

2009年06月16日 09:58

のこり2作。
ジャンプ打ち切りに詳しい人がいたら、もう予想はできてると思う。
まずはこっち。2位『バオー来訪者』。
最初に書くと、この作品こそ、この作者の金字塔で、これ読めばOKじゃねえか?
と言うのが、一歩ひいた視点での感想。

それだけ、エッセンスはありつつ、短いながら話がまとまっている。
シナリオ的にはベースは西洋の映画で、劇画由来の雰囲気漂う作風が、独特の漫画絵と奇妙にマッチしている。
わずか数十話ながら、話がまとまっており、見所もそこかしこは散らかっているが、筋は通っている。

問題点は数々あれど、個性があり、逸脱しすぎず、最初から短期連載だったような空気を持っている。
清濁併せ持つ良作というのが評価だ。


ドレスの組織がイマイチ秘密っぽくないというかちゃちい感じだったり、なんか変な男爵かなんかが道化過ぎて萎えたり、ウォーケン唐突すぎ、液グモ登場とともにどう脱出するかバレバレなどなど、不満はわりとある。
また、殺されるために通りがかる親子は、山瀬舞子的な(連載から10年以上後の作品だがバオー読んだのは実は21世紀なので俺的に)もやもや感と同じものを感じた。

しかし、少年育朗の出生から少女との出会い、そこからさまざまなどうでもいい風景、しかしそれぞれストーリーのある風景(踏み切りなど)を経て、結末はドノヴァン(連載 以下略)に落ち着くあたり、かなりよくできていたし、楽しめた。

ジャンプ王道以上に超(長い名前の)強い技にも惚れ惚れし、いつの作品だろうが、技術的なものはともかく、出来そのもののよしあしは不変であるとの認識も取れる。
マンガとは、かくあるべきではないか、そういったエンターテイメント性に富んでいる。

この辺、実はこの作品は好みではないが、こう認めざるを得ないことを読んだ。

好みではないので、このキャラが云々、この話が、などはない。
ただ、面白かったぞ、そう言うものである。

個人的にはやたら長い後作よりは、こちらをオススメしたいくらいだ。
もっとも、基本的に俺は打ち切りの方を薦めたりすることが多いような気がするけど。


関係ないけど、わりと必殺技とかいろいろと後世の作品に影響を与えているような気がするものがいくつかある。
最もはっきりしているのが、ワールドヒーローズ2以降に登場するNEO-DIOだろう(名前的に確定か)。
今思い出すと、あのダッシュ攻撃はバオー・リスキニハーデン・セイバー・フェノメノンだったんだなあと思う次第である。そりゃガードも削られるわ。カシカシでしか倒せないのもうなずける。


他はわからん。バオーと元ネタが同じということも十分ありうるが、バオー自体結構古い作品なので、読むとやっぱり時代を感じずにいられないのは無視できないところである。

完全さを評価するなら、打ち切りの2トップと言っていい。
打ち切りもそうだが、週刊ジャンプを語る前に読んでおくべき作品ではないかと思う。

2位はこれで終わり。

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